深層学習によるカシミヤカップリング誘発したフォノン熱輸送機構の探索

地球規模の気候変動への対応策の一環として,高いエネルギー変換効率を実現するためには、ナノスケールにおける高度な熱制御技術が求められている。申請者らは、数分子層程度の真空ナノギャップを挟む二つの固体が分子間相互作用力のみでフォノン熱輸送を実現し、準カシミヤ熱輸送機構による熱共振現象を発見した。この新たなフォノン熱輸送機構では、真空ナノギャップを挟む固体表面に準カシミヤカプリングによるフォノン輸送が誘発されるため、電磁場を必要としないのが特徴である。すなわち、電子を通さずにフォノンのみを通すことで、近接場熱放射またはカシミヤ熱輸送よりも高効率で熱を輸送できる。本研究の目的は、ナノギャップにおける準カシミヤカップリング誘発したフォノン熱輸送機構に基づいて、分子動力学解析および深層学習の両面から極小局所領域における革新的ナノスケール熱制御技術の原理を明示することである。

Wentao Chen
Wentao Chen
Research Fellow

My research interests include near-field heat transfer, thermal transport at the solid-solid and solid-liquid interface, and molecular dynamics simulation.